日本の写真家・鈴木理策(1964−)の写真集『KUMANO』。80年代後半から写真を媒体に創作を始め、青森県・恐山で撮影した〈Osorezan〉と三重県・花窟神社の祭礼についての〈Izanami〉からなる写真集『PILES OF TIME』で2000年に第25回木村伊兵衛写真賞を受賞。2015年には東京オペラシティアートギャラリーで個展『鈴木理策写真展 意識の流れ』を開催し、また海外での展示も多い鈴木は、世界的な評価を得ています。小さく載せられたマッチの火にはじまり、そして和歌山県新宮市の神倉神社で行われる日本最古の火祭りで締めくくられる本書は、鈴木の1st写真集となり、皇居(東京)、熊野、そして鈴木の生地・新宮市へと地理的移動と時間的推移の可視化を主題にした1冊です。「『KUMANO』のイメージは、人間の介在によって変質し、かつ記憶の中に浸透している、歴史の層に埋め込まれたある『領域』が存在することに気付かせてくれる。普段何気なく目にする平凡な風景を切り取ったかに見えるこれらの写真は、確かに存在しているその『領域』の重要性を、明らかにしている」(本書より)。
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